山岳地形データ

山岳は一般に自然物の一種で、ミクロに見れば岩や小石、雪・氷の集合体ですが、
コンピュータゲームですので三角形を多数組み合わせたポリゴン形状として表現されています。

また、登山ゲームでは山岳地形上を移動することが主目的ですので、
映像表現用のポリゴンデータ(3次元メッシュデータ)を持つとともに、
その表面沿いの経路データ(有向グラフデータ)が必要になります。

参考までに、プレイヤーが挑戦できる山は、原作では5種類が準備されており、いずれも、
実在の高峰の名前をもじった架空の名称で、標高も、約500メートル刻みで設定されています。

マヌーツェ7128メートル 原作中では一番低い、入門用の山です。
山体形状も標準的な錐体で、どこから上っても大丈夫でした。
ゲーム内容を理解するのには最適な山です。
ダウラチェンリ7636メートル 脱入門用の山です。攻め方の基本は、マヌーツェと変わらないと思います。
しかし、高所での中間キャンプ設営地点の選択が難しく、何度も上ったり下ったり
して攻略したような気がします。
カンガプルナ8021メートル 「白いサソリ」と呼ばれる雪崩発生地域が有名ですが、そこはパスしてルートを
選んで攻略ました。といっても、多くの隊員をボロボロにしつつ、
辛うじてベストメンバーだけ登頂させたような状態でしたが。
シシャカンリ8482メートル 山体形状が特殊なので、ここまでの登山経験をもとに登ろうとすると、
失敗するようです。どこから上っても壁のぼりが辛くて登れないか、
高地で足止めを食って帰ることもできなくなる状況に陥ってしまい、
筆者はこの山で手詰まりになってしまいました。
K-0ニコノサ8955メートル 実在する世界最高峰エベレスト(8848m)を上回る伝説の最高峰です。
BCは5200m付近に設置し、標高差3500m以上の作戦になります。
挑戦だけならいつでもできますが、案の定、頂上は拝めませんでした。

山体形状

原作の5種類の山にはそれぞれ個性がありますが、それは単に標高の違いによるものではなく、
山の形状自体に特徴が表れています。

例えば、ルート傾斜の緩急によるところの登攀、登壁難易度の違いや、稜線ルートでの強風の影響、
雪崩、落石の発生率などが様々ですので、最高峰のK−0よりシシャカンリの方が登頂が難しいという
感想も聞かれます。(筆者は、いずれも登頂に失敗してるので、どっちが難しいか言えません。)

山岳形状をコンピュータで表現するには、3次元の頂点群を参照し、抜けのないように三角形を並べて
定義する方法(ポリゴンメッシュ)が一般的です。

ポリゴンメッシュでは法線ベクトルが計算できるので、陰影をつけると立体感を出して描画できますが、
それだけだといまいち雪山っぽく見えないため、まだら模様のテクスチャをマッピングすると効果的です。
(このへんは予備実験をしていますので、興味のある方はこちらをご覧ください。)

ちなみに、このような山岳形状は、ランダムフラクタルで容易に生成できますが、
メモリ容量が少なく、スタックやヒープ容量が厳しいゲーム機では、あらかじめ生成済みの
ポリゴンデータをファイルから読み出しているのではないかと思います。

なお、本プロジェクトはせっかくPCで作るのですから、乱数を使って無限に未踏峰を生成するような
仕組みにしたいと思います。

登山ルート

ゲームのルール的には、山岳の3次元形状よりも登山隊が移動できる範囲の方が重要で、
原作のシステムでは発見可能なルート候補が規定されており、プレイヤーが探索指示する
ごとに、発見済みルートが徐々に開放されていく仕組みになっています。

それぞれのルートは、山岳形状の三角形の集合の一部分になっており、
長さや勾配、方角は、そこから参照すればよさそうです。
原作では、一部に三角形の真ん中を横断しているように見えるルートがありますが、
三角形を分割することで、辺を通るものとして統一します。

ルート候補には、規定のBCから頂点に至る複数の経路が設定されており、途中で枝分かれや
合流があるほか、ときどき行き止まりも存在しています。

発見済みルートは、探索地点とその一歩頂上側の地点のペアで定義できます。
このとき、「一歩頂上側」というのがポイントで、必ず上りと下りという方向が定義されています。

発見済みルートからルート確定を行う場合には、BCから「上り」ルートを順番に選択していきます。
途中に下りルートを含めることはできません。

地形パラメータ

地点ごとに地形が異なり、登攀の困難さが変化します。原作に登場する地形種のいくつかを紹介します、

雪田 雪が積もった地形です。年中氷点下の場所ですので、雪は珍しくないと思います。
傾斜は緩やかで歩きやすく、落石の恐れは低いですが、
雪崩の可能性は多少あるようです。
ドラクエでいうと、草原のような印象かも。
寒そうに思えますが、キャンプ地に適するようです。
ガレ場 岩や石がごろごろと転がっている地形のことです。
緩斜面に現れますが、落石の危険度が高くなっています。
ドラクエでいうと、茂みのような地形でしょうか。
リッジ 切り立った稜線のことです。山頂もこの一種と考えます。
物が上から落ちてくるより、ここから下へ落ちる方が多そうなので、
落石や雪崩の危険性は低そうですが、猛烈な風が吹きやすいため、
特に滑落の危険度が高いようです。キャンプ地点には向きません。
急斜面で堆積物がない、岩がむき出しの地形のことです。
岩壁や雪壁、氷壁などバリエーションがあり、激しく体力を消耗します。
いずれも高い登壁技術と専用の工作セットが必要です。
その他 氷河の活動によるモレーンやセラック、雪崩や落石跡地のデブリ、
足場不良のクレバスやスノーブリッジなどが登場します。
山腹の緩斜面途中に登場し、踏み込むと隊員から特別に連絡があったり、
雪崩や落石などの災害に遭いやすい場所という印象があります。

原作では、これらの地形種別に2D画像が用意されており、そこを右斜め上に登山家が
上り下りするアニメーションが表示されます。
移動が困難な場所では、移動アニメーションも辛そうに遅くなるなど、工夫されています。

また、地形種以外の地点パラメータについて補足します。

テント設営可能数 その地点に設営可能なテント数の上限です。
地形種に大きく依存しますが、同じ地形種でも場所によって差があるようです。
最大整地工作可能数 テント設営可能数は「整地工作」命令で拡張することができますが、
それにも限界があります。このパラメータは地形種と関連があるようです。
通常、9張分の整地工作命令を出せますが、最大数まで拡張すると、
作業打ち切りの連絡が入ります。
雪崩安全度 雪崩に遭遇する頻度に関係があるようです。
安全度100%の場所では、絶対に雪崩は発生しませんが、そうでないところでは、
安全度の大小に関わらず発生するようです。
中間キャンプを置くと破壊されやすいので気を使いますが、
ルート選択上、安全度の高い場所ばかりを選ぶわけにもいきません。
落石安全度 落石に遭遇する頻度に関係があるようです。
雪崩安全度同様、100%の場所だけは安全地帯で、他は大小問わず、
捕まるときは捕まります。
落石と雪崩の安全度がともに100%の地点に踏み込むと、
キャンプ好適地として報告が入ります。
斜度 経路の平均斜度なのか、地点の法面の角度なのかわかりませんが、
壁面地形では急角度が出ます。
登攀(登壁)に要する時間とスタミナ消耗に関わるようです。
気温 経路の1区間で評価される気温です。低温で活動すると凍傷を誘発します。
気温は、高度が上がると若干低下する(気温の逓減)傾向が見られますが、
それよりも天候と時間変化による影響が大きい要素です。
日向と日陰に差があったかどうかは、調査できていません。
風速 経路の1区間で評価される風速です。
秒速30メートルを超えると上り下りともに一歩も動けなくなります。
時間とともに刻々と変化する要素ですが、地点ごとの差が大きく、
特に稜線に乗った地点から急に激しくなって驚くことがあります。

これらの設定値は、山岳形状のジオメトリから機械的に計算して求めたものなのか、
デザイナーが一か所ずつ丁寧に設定したものであるかは定かではありませんが、
ゲームの合理性に密接にかかわる重要なパラメータです。

厳密には、各パラメータは、地点(ポリゴンの頂点)とルート(ポリゴンの稜線)とで
持つべき意味も計算方法も変えるべきなのですが、原作では、地点単位で確認できます。

枝分かれする地点では、進む方向によって傾斜が明らかに違うことがありますが、
進む方面によって安全度等が変わるかどうかは、画面情報から確認することはできませんでした。

このプロジェクトでは、上に書いた通り山岳形状をランダムフラクタルで自動生成するので、
危険度などのパラメータも、地形の幾何的構造から計算してみたいと思います。



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